FSRの概要

FSR(Fukuoka Stroke Registry/福岡脳卒中データベース研究)とは

社会の高齢化に伴い脳卒中の発症は増加しており、脳卒中予防の対策強化や急性期医療の充実が急務です。しかしながら、日本人を対象とした臨床研究は欧米に比して遅れており、日本人における脳卒中に関するEvidence-Based Medicine (EBM)は多くありません。

私たちは共通の診断基準や治療方針のもとに専門医療を提供できる脳卒中専門医を揃えた福岡県の7施設による多施設共同脳卒中データベース(Fukuoka Stroke Registry; FSR)を構築しました。このデータベースを用いて急性期脳卒中患者の発症登録による病態分析と病因解明を行うとともに治療成果の評価につながる研究を行い、我が国における脳卒中医療の基盤となるエビデンスを構築します。

2つの多施設共通脳卒中データベースを構築しています。

既存資料を用いた後向き疫学研究用脳卒中データベース

昭和61年4月1日から平成19年5月31日までに脳卒中で脳血管内科に入院された患者様の診療要約を対象として、各医療施設においてこれまでに収集した急性期脳卒中症例の診療要約を共通データベースとして管理します(予後調査、試料収集、遺伝子解析は実施しません)。

平成19年6月1日以降に脳卒中で脳血管内科に入院され、前向き登録研究に登録されなかった患者様の診療要約を対象として、各医療施設においてこれまでに収集した急性期脳卒中症例の診療要約と医療機関情報を連結した後に、共通データベースとして管理します(予後調査、試料収集、遺伝子解析は実施しません)。

これらの共通データベースの情報は、各医療機関の個人情報管理者の監督の下、個人情報管理補助者によって、個人情報が完全に削除し、特定の個人を識別することはできません。統合された電子ファイルは、特定の個人を識別できない、匿名化データベースとして研究に活用されます。

新規症例登録による前向き疫学研究用脳卒中データベース

発症7日以内の脳卒中症例を対象に、容易に個人が識別できないように匿名化した診療要約、予後調査結果、血漿およびDNAを共通データベースにて管理します。 発症7日以内の脳卒中症例で、インフォームドコンセントが得られた方の情報だけを、各医療機関の個人情報管理者の監督の下、個人情報管理補助者により容易に個人が識別できないように匿名化します。容易に個人が識別できないように匿名化された脳卒中データベースは、容易に個人が識別できないように匿名化したデータベースとして研究に活用されます。 「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に従い、厳格に管理しています。

血漿の収集は、インフォームドコンセントが得られた方の、入院時検査で残った血液が有る場合はこれを優先的に使用し、もし残余血液が無い場合は採血にご協力いただきます。DNAの収集は必ずインフォームドコンセントが得られた後に採血したものを用いることとし、可能ならば診療上の採血とあわせて採取することで侵襲性を軽減します。これらのご提供いただいた血液は、各医療機関の個人情報管理者の監督の下、個人情報管理補助者によって容易に個人が識別できないように匿名化された後、研究担当者によって必要に応じて複数チューブに分注し凍結保存されます。これらの試料は、九州大学大学院医学研究院病態機能内科学が管理する冷凍庫にて、研究に利用するために保管されます。

予後調査についてインフォームドコンセントが得られた方には、追跡事務局から、 定期的に電話や郵便を用いて健康状態をご確認するとともに、有害事象が発生した症例に関しては、可能ならば主治医からも詳細な臨床情報の提供を受けています。これらの情報は、脳卒中データベースに統合され、研究に活用されます。

臨床研究コーディネーター(CRC)

提供者から同意が得られた場合は、医療機関で研究を支援する臨床研究コーディネーター(CRC)が研究を支援します。CRCは各施設と機密保持契約を結び、個人情報保護には十分留意します。

匿名化

個人情報から個人を識別する情報の全部又は一部を取り除き、代わりにその人と関わりのない符号又は番号を付すことをいいます。

インフォームドコンセント

疫学研究においては

研究対象者となることを求められた者が、研究者等から事前に疫学研究に関する十分な説明を受け、その疫学研究の意義、目的、方法、予測される結果や不利益等を理解し、自由意志に基づいて与える、研究対象者となること及び資料の取扱いに関する同意をいいます。

臨床研究においては

被験者となることが求められている者が、研究者等から事前に臨床研究に関する十分な説明を受け、その臨床研究の意義、目的、方法等を理解し、自由意志に基づいて与える、被験者となること及び試料等の取扱いに関する同意をいいます。

ヒトゲノム・遺伝子解析研究においては

試料等の提供を求められた人が、研究責任者から事前にヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する十分な説明を受け、その研究の意義、目的、方法、予測される結果や不利益等を理解し、自由意志に基づいて与える試料等の提供及び試料等の取扱いに関する同意をいいます。本指針においては、文書によることが求められています。

FSRでは、「福岡脳卒中データベース研究へのご協力のお願い」により十分ご説明を致します。 自由意志により「福岡脳卒中データベース研究への協力の同意文書」にて同意いただきます。